2003年 飼育経過と今後の活用

今シーズンのバイオバクテリアによる飼育経過と今後の活用
(冬季飼育・産卵期への活用等)

 はじめに、日頃、私達のホームページをご覧頂き、また、ご声援くださる皆様に大変感謝して
おります。心からお礼申し上げます。

 
 私達にとって今年のらんちゅう飼育は「大きな賭」でした。しかし、そこには、薬品ではなく、自然界に
星の数ほどあるバクテリアから抽出ブレンドした「バイオバクテリア」という自然で科学的な武器が勇気を
与えてくれました。(AnakasA:浄化・活性化/AnakasB:予防)
 さらに、バックグランドには「良血」という血統からの後押しがあり、秋には必ず仕上がるであろうという
夢と辛抱強い飼育の大切さを与えてくれました。

 このような裏付け等から、私達は決して無謀な賭をしたのではなく「知的挑戦」をしたのであり、結果は
こんなものかと思われるかもしれませんが、限られた飼育時間・スペースで精一杯努力した成果だと
感じております。ご理解と、更なるご声援をよろしくお願いいたします。

 自らバイオバクテリアを開発し、飼育工法も常に最適を目指してきました。しかし、モニターの方々や、
いろいろな飼育環境等でバイオバクテリアの臨床に強力して頂いた方々からのご意見を伺うと、その効果
は想像を超える力だと感じております。私自身がまだまだバイオバクテリアを使いこなしていない部分を
感じており、それくらいの「未知の魅力」を秘めたバクテリアであると思っています。

 ここで開発から1シーズン経過した時点のまとめと、今後のバイオバクテリア活用(冬季飼育への活用、
産卵期への活用)をご紹介いたします。



【バイオバクテリア開発にあたって】 2003年2月〜
 
・限られた飼育時間・スペースで大会を目指す魚を作るために4つのキーワードからバクテリア開発に
 望みました。
水質浄化 機能活性化 病気予防 病気治療

 Aバクテリアには水質浄化と機能活性化を目的としたバクテリアをブレンド
 
・有機物を多く含ませ栄養価の高い水を作りながら、アルカリに傾くのを防ぎ(飼育水の腐敗を押さえ)、
ペーハーを6前後の弱酸性に保つことにより、水質浄化と機能活性化効果を目指しました。
 
 Bバクテリアには予防機能を魚体にもたせるためのバクテリアをブレンド

・病気治療にもペーハー6前後の弱酸性が効果的、そして病気にかかりにくい強い魚&病気への抵抗力
の強い魚作りを目指すしました。(ABバクテリアの適用)
・ヘルペスに対する効果も、実験を進め、これからも検証を続けたいと思います。
(注意:現状ではヘルペスへの効果は立証はされておりませんが、中部地区の友人でヘルペスに感染
された思われる魚に試したところ、現在、症状が押さえられていると報告は受けています。引き続き検証
します)


【バイオバクテリアの効果と注意事項】 3〜11月の検証結果より
 
・産卵期の稚魚に対して、ブラインを食べ始めた頃からABバクテリア与えると、「抵抗力」「成長力」に
著しい効果が確認
できました。

・バクテリア投入により水質浄化作用が活発となり、産卵舟のまま長期飼育が可能(ブライン粕等の汚れ
も浄化)で、選別を1ヶ月〜2ヶ月先まで待つことができました。(浄化槽の中で飼育している感じです)

・系統によっては完全に尾が開くのに2ヶ月かかり選別ミスを防げました。

・ブラインを与える頃の頻繁な水換えがなくなり、選別作業も都合の良い週末等へ調整可能となりました。

・外部より購入した魚に対しては、市販の抗菌性の薬やイソジンで薬浴後にバクテリア水の中で飼育が
可能。3日〜2週間程度で色艶が良くなることを確認できました。(魚本来の持つ生理機能を活性化)

・この活用方法で、私は春期観魚会と天狗会にて親魚と二歳魚の部で優等がとれま した。驚きでした。

・また、福岡観会秋期品評大会でも、ご意見番の有働氏も同じように2週間のバクテリア飼育で、老いた
親魚を蘇らせ優等を確保されました。*ただし、その魚に良くなる要素があることが条件であり、やはり
系統の良い魚を作ることが大切だと感じます。

・出張等で外出している間(3〜4日)もフードタイマーにより餌を継続して与えることが出来ました。

・バクテリアの分解能力を超えない限り、食べ残しの餌もバクテリアにより分解されま す。
(ペーハー6前後がバクテリア活性状態の指標)
*注意が必要なのは、通常以上の餌を与えすぎない事です。バクテリア効果にも限界があります。
それを超えると亜硝酸が発生し、ペーハーも8前後へ後退します。(餌の量は飼育環境と魚の匹数から
判断が必要です)万が一バクテリア飼育水の状態が崩れても、魚は病気ではないので、新水へ戻し
再度バクテリア投入し立ち上げ治せば、すぐに魚は元気になります。

・例えば25度水温では、糞は一日で7割が分解され、三日後には完全に無くなります。フィルターは
必要とせず、エアレーションだけでした。

・バイオバクテリア飼育に欠かせないのがペーハー(pH)値管理でした。

・これは、ディスカス等の熱帯魚飼育に経験があり市販のバクテリアにも精通している方からのご意見が
ヒントとなりました。くどいようですが、現状ペーハー6を中心とした5.5〜6.5が最適だと考えられます。

・魚の匹数が少なく、バクテリアの餌がない状態で立ち上げる場合は、市販のペーハーダウン液にて
7.3程度から0.2〜0.4程度ずつ魚にペーハーショックがないよう2日間ぐらいでゆっくり下げます。
この間も定量のバクリアは投入していきます。6.5位からバクテリアの活性力にて安定したペーハー値を
維持し、6前後に落ち着きます。この時点でペーハーダウン液の投入は不要となります。

・バイオバクテリアを使用していてもエラ等にはかかりますが、症状が軽く、通常1〜2週間かかる
治療期間が、3日程度で快復しました。

・毎年、7月第一週目の研究会でエラをもらって、かなり数を殺していましたが、今年は一匹も落とさないで
秋の本大会を迎えることができたのもバクテリアの力だと思います。

・バイオバクテリアは塩水の中でも機能します。

・通常、エラ等の治療時に使う0.5パーセントの塩水の中でも問題なく使用できました。
(研究所内での塩水への順応テストでも海水3%の中でもバクテリアは機能することが確認されて
います)

・今シーズンはバクテリアを活用した密飼いの中で、いかに大会に通用する魚を作るかが目標でした。
9月の飼い込みの時期には思わず魚を空いてしまいたい気持ちにかられました。しかし、当初の目的通り
最後までバクテリア水の密飼いの中で大会魚を育てました。結果としては、大の部には届きませんでした
が、観魚会、天狗会の小の部へ出すことが出来、役に入ることが出来ました。
すべての目標が達成出来たわけではありませんが、このような限られた飼育時間と狭い(環境の悪い)
スペースの中では出来過ぎかも知れません。これもバイオバクテリアの力だと感じています。
(モニターの方や臨床に協力してくださった方々の中には、匹数を減らし、狭いセメント舟の中でバクテリア
飼育により、当歳でも10月には14〜15センチの大きさを確保した方も多く。嬉しいご報告を受けています)



【バイオバクテリア飼育による今後の挑戦】
12月〜臨床開始:春期大会
を目指し

開発段階では、バクテリアの活動最低温度は10度と見込んでいましたが、実際の飼育データから3〜5
度の水温の中でも機能できることが確認できました。冬季のバクテリア使用による冬眠状態の確認と、
冬季の低水温の中での餌食いの状態等、魚の成長度も検証していきます。
(11月下旬、水温8度の中でも、バクテリア水の中で活発に泳ぎ、餌をさかんに食べている状況が
信じられないとの報告も頂いております)

・冬季の飼い込みにバイオバクテリア使用し、その成長を検証します。
(室内にて水温25度前後、バイオバクテリア使用、ペーハー6.0を維持)

・通常、冬季に室内飼育した場合、水温が15度を超えると飼育水の中の雑菌が活発化し、せっかく
冬の間に大きくし、来春の大会を目指す大切な魚を殺してしまうケースが多いのが現状です。また、15度
で飼育に安全をきして飼い込んでも、夏や秋口のように、なかなか大きさはでません。

・そこで今年の冬は、バイオバクテリアを活用し、水温を25度前後(室内)にしペーハー6.0を維持すること
により、雑菌の繁殖をおさえ、さらにバクテリアの機能活性化の力により、健康体で大きさを確保したいと
考えています。



最後に
私達は飼育スペースが狭く、らんちゅうの世話をする時間の少ない方でも、特別な飼育技法を
駆使し、血統の良い魚であれば大会を目指せる魚を作り上げられる事を目指し
続けます。
これからもよろしくお願いいたします。