< 2月第1週:(株)ビー・スクエアーの明二歳種魚を導入(2/8) >

 2月に入り、種魚達は18度の飼育舟の中で順調な仕上がりです。
 2/17〜20の大潮にあわせて、そろそろ産卵準備に入ります。

 先日、出張先から「(株)ビー・スクエアー」の池に行き、
 画像の3匹を導入しました。私の系統と同系統魚であり、
 種魚として、大変魅力ある更紗魚達です。
 この血をブレンドして、さらに今年の仔のレベルアップを
 はかりたいと思います。(私は、白勝の更紗魚が大好きです)

(株)ビー・スクエアーから明二歳種魚を導入

 ・画像のように、どの魚も特徴ある魚です。
  頭、目先、目幅、筒の太さ、柄・・・等
 
 ・飼育池の水温は10度程度でした。
  透明なバイオバクテリア水の中で飼育されています。
  食欲、動きとも良く、腹も柔らかく熟成度の高さを感じます。
  (粋で迫力ある現代的ならんちゅうの容姿です)

「たたき池」の飼育状況(明二歳魚)

 ・飼育池の画像からも、健康であることが一目瞭然です。
  気持ち良さそうに餌を探して泳いでいます。

 ・画像の飼育池には加温はしていません。10度程度です。
  バイオバクテリアAnakasアナカスは、透明、青水、
  室内の茶褐色の飼育水の全てに対応できます。

 ・餌は冷凍赤虫を、朝、昼、夕方に計3回与えているそうです。 
  1回の餌の量は、1匹当たり半欠片程度です。

産卵準備、雌雄を分けた舟で17度に加温中
ビー・スクエアー種魚の一部画像

 ・雌雄を分けた舟で加温に入っています。現在17度程度。
  薄い青水のバクテリア水です。 
  左がオス舟、右がメス舟です。

 ・種魚の一部として撮影しました。
  上段の2匹がメス、下段の2匹がオスです。
  どの魚も各所に特徴がある魚達です。
  今年の作出魚にも期待十分と感じました。



< 2月第1〜3週:いよいよ産卵舟に種雌雄を仕掛けます(2/17) >



 2月2回目の大潮を迎えました。(2/17〜20:大潮)
 2月初旬から18〜20度へ飼育水温を上昇させて来ました。
 種雌雄の産卵態勢は整ってきたようです。試験的に産卵舟を仕掛けます。
 昨日の夕方、「産卵舟」と「人工授精後の孵化舟」を2舟ずつ準備しました。
 産卵舟の中には、各舟にメス3〜4匹、オス6〜7匹を放匹しました。
 孵化状況の確認のため「早起き態勢」が始まります。

2/17:早朝6時40分、「綺麗な日の出」でした

・「試験的な産卵」といっても、どの仔も私なり選抜した特徴ある大切な種魚達です。
 (よく「本筋」「本命」ですか・・・等の言葉を耳にすることがありますが、
  私達の場合は「限られた環境と時間の中」での飼育であり、どの産卵も真剣勝負です。
  全てが「本筋」「本命」です)  

・今年は、異常なほどの暖冬です。こういう暖冬の年は、4〜5月の天候不順
 が多く、3月孵化魚から平均的に良い仔が出ると言われています。
 この2月の産卵も孵化後の稚魚の状況次第では、本番として考える必要性があるとも感じます。

・大潮と産卵に相関性があるのですか・・・とのご質問も頂くことがあります。 
 私は、地球上の多くの生物が大潮に受精、受粉する状況からも、なんらかの
 影響があると感じております。確実に「大潮ごとに産卵」とは断言できませんが、
 その前後の中潮をはさんだ時期に産卵しやすいと思います。

「産卵舟」と「人工授精後の孵化舟」の状態

                      <産卵舟の仕掛け>

 ◎私的方法です。ご参考にしてください。2006年飼育記録の再掲(一部修正)
                             
 ・セメント舟:60×90センチのセメント舟を使用します。
 
 ・放匹数は、メス1匹に対して2〜3匹のオスと考えています。
 
   左画像の舟には、メスが4匹とオスが6匹です。
 
   右画像の舟には、メスが3匹とオスが7匹です。
 
 ・サーモスタットとヒーターにて水温は20〜23℃にセットします。
  (ファイロンの波板での保温は必要です) 
 
 ・溶存酸素発生装置Anakas100をセットしています。
 
 ・バイオバクテリアAnakas:A(浄化・活性化作用)を投入します。
  (B:予防効果は稚魚が孵化し、ブラインを食べ始める頃を目安に投入を開始していきます)
 
 ・産卵藻は、青色の荷造り用ビニール紐を束ね、細かく藻のように裂いて作成したものです。

 ・産卵が始まったら、人口受精をさせる予定です。早起きが必要となります。
   (手作り産卵藻の作り方、人工授精方法は、一昨年と昨年の飼育記録をご参照ください。
   いろいろな方法があります)
 
 ・産卵舟の他に、人口受精後の卵を孵化させるため、孵化舟も準備しておきます。
  (水温は20℃)

 雌雄の状態:上段がメス、下段がオス

・画像のように、メスの腹は、少し黄色くなり、「ぷよぷよ」の
 状態まで柔らかくなります。腹の中心の筋も柔らかくなります。
 魚を掴んだ刺激だけでも産卵してしまうこともあります。
 ボール等ですくって舟の移し替えをする必要もあります。

・オスは、前ヒレに「おいほし」が出て来ます。
 産卵舟へ移す時点で、精子が出るか腹を軽く押してみました。
 全てのオスから、白い糸状の精子が出ます。

明二歳の一部種魚画像:上段がオス、下段がメス

・各種魚の特徴が上手くミックスして仔達に継承されるか、
 期待と不安でいっぱいです。

< 2月18日:速報:豪雨の中で「2腹が同時に産卵」しました >

 2月18日の早朝、6時15分:目覚まし時計で起床。
 外は豪雨です。次第に明るくなってくる中で、傘をさして産卵舟の
 状況を確認しました。産卵が始まっています。「雨の日の大潮」
 昨晩、なんとなく「来るかな・・・」とは感じていました。

2/18:早朝6時40分〜7時50分まで産卵

・産卵舟は、すでに雌雄が追いあい、産卵が始まっています。
 雌雄の放匹数も多いので、産卵舟は白濁化して大きめな泡が確認できます。

・画像のように、一度、部屋へ戻り、人工授精の準備に入ります。
 慌てる必要はありません。事前の準備が万全過ぎると期待はずれになる経験があります。

・お椀程度の容器に、ワセリンを指で丁寧に薄くのばして塗ります。
 リンゲルの容器から注射器で各容器に50〜60cc程度を注入します。

・カッパを来て、豪雨の中で産卵に入りました。魚巣には、すでに卵が産み付けられています。
 時間は6時45分、準備に30分を要しています。

・明二歳のメス魚、初めての産卵です。手で絞っても一度に多くの卵は出てきません。
 「絞っては泳がせ」「絞っては泳がせ」を繰り返します。

・最初に、容器の中にオスの精子を絞ります。その後にメスの卵を絞る手順です。
 これを繰り返しました。(必ず自然産卵が開始された後に人口受精を行います)

・雨が強く、ある程度「人工授精」させて画像を撮影してみました。
 人工授精させた受精卵は、新水20度に準備しておいた孵化舟にまきます。

・その後は、約50分間、産卵舟の中で、雌雄を交互につかみ、腹を押しながら飼育水をかき混ぜ、
 産卵藻等に産ませていきます。雨で水面が波立ち、どの程度の卵が出たかは確認できません。

・8時前には、産卵を終えて雌雄それぞれのバクテリア飼育舟へ戻しました。種魚達は元気です。
 (今年は寒く冷たい産卵から始まりました)

< 2月19日:速報:産卵翌日夕刻の受精状況 >



 2月19日の夕方、「産卵後30時間」の状態を確認しました。
 孵化舟の卵の数、卵の大きさ、そして、受精率とも良い感じです。
 まだ、はっきりしませんが、白く受精していない卵が少なく、
 飴色で透明色の受精卵がたくさん確認できました。



2/19:「産卵後30時間」の状態



・豪雨の中での産卵となり、人工授精による卵数は少なかったですが、
 画像のように、99%以上が受精しています。 

・産卵させた舟と受精卵をまいた舟には「よしず」で日除けしています。
 水温は20度をキープ、4〜5日で孵化する予定です。 

・もう一舟、産卵仕掛けした雌雄も、夕方の様子では「そわそわ」していて
 明日の早朝に産卵する可能性もあります。



< 2月22日:産卵5日目、孵化のはじまり、良好です!!! >



2月22日の早朝、孵化がはじまりました。水温:20度にて5日目です。
水温を23度へ調整して、全体をいっせいに孵化させます。
すでに、泳いでいる針仔も見られます。まさに卵から出てきたばかりの仔もいます。
針仔の数、大きさ、色艶等も順調そうです。




2/22:「産卵後5日目、孵化開始」の状態




・画像の上段の舟が「人口受精産卵」の稚魚達です。
 99%以上が孵化しました。
 稚魚達の体は真っ直ぐ、皆、同方向を向いて並んでいます。
 (稚魚達が孵化後に「揃った方向を向く」のは良い状態だと思います)

・下段の舟は、産卵舟の中で、種雌雄を交互に絞って藻に産卵させました。
 この中でも受精率は高く、数え切れない稚魚が孵化しています。
 「稚魚の立ち上がりが良い!」と表現されますが、すでに泳ぎはじめ、
 舟の側面に並んでいる様子が確認できます。このような状況を表現します。

・今日中には孵化は完了します。今日と明日:餌は与えません。
 孵化後、3日目から2日間、「ゆで卵の黄身」を布濾しして与えます。
 その後は「ブラインシュリンプ」の生餌で飼育していきます。




2/18産卵の種親画像:上段がメス、下段がオス




・種親達の良い特徴を継承してくれることを願います。



< 2月23日:速報:今年3,4腹目の産卵に成功、とても良い産卵です!!! >



2月23日の早朝、「暖かい雨の朝」となりました。
仕掛けていた産卵舟の中で種雌雄が追いあっています。
舟の中は精子で白濁化しています。魚巣に卵が産みつけられています。
今日、2匹のメスが産卵し、先日の2腹を含め4腹目の産卵に成功しました。
2月の産卵は早熟状態によるものなのか、過去に満足できる産卵の経験は
ありません。しかし、今年は、例年になく、とても良い状態です。
種魚の状態はもちろん、卵の艶、数、精子の量とも万全です。
バイオバクテリアAnakas:アナカス飼育による種魚の成熟度の高さに
大変満足しています。 
(バクテリア飼育は「計画産卵」に、とても有効だと感じます)

2/23 : 3.4腹目の産卵状況、良好でする



 ・産卵舟の中の魚巣には、自然産卵により卵が産みつけられています。

  舟の中は、多量の精子で白くなっています。受精率も高く感じます。

  (産卵仕掛けの時点でバクテリア飼育水です。

  その浄化力により2〜3時間もすると綺麗な透明の飼育水となります。

  水生カビの繁殖も抑制できて受精率も上がります)

 ・画像の4匹にて人工授精も行いました。今回も雨天の中の産卵となりましたが、

  暖かく、ゆっくりと人口受精を進めることができました。一人で行っているため、

  どうしても雌雄を絞る様子が撮影できません。ご了承願います。


 ・画像のように特に卵の状態が良く、飴色から、さらに「黒ずんで」撮影されています。

  人口受精による卵数がとても多く、完全に受精すると思います。孵化舟にまいた卵が

  ところどころで「固まって」見えますが、完全に受精しているため水生カビの発生は

  皆無です。(人口受精の孵化舟の中にもAの浄化バクテリアを投入しました)



< 2月28日:稚魚達は順調に成長!1〜2腹目:ブラインへ切替、3〜4腹目も孵化完了! >



   稚魚達は順調に成長しています。全てが計画どおりです。

 

   [2/18:産卵、2/22:孵化の1〜2腹目]は2/26からブラインへ切り替えました。

   画像のように、ブラインシュリンプを食べて腹が赤色となっています。

 

   [2/22:産卵、2/26:孵化の3〜4腹目]は27日に完全に孵化して泳ぎだしています。

   孵化匹数、大きさ、体ともに良い状態です。3/2から卵の黄身を与え始めます。




[2/18:産卵、2/22:孵化の1〜2腹目] : 2/26撮影
ブラインシュリンプへ切り替え




[2/18:産卵、2/22:孵化の1〜2腹目] : 2/27朝撮影




 ・画像のように、全てが順調に進んでいます。しかし、孵化魚の水温維持等により

  電力使用量が限界に近づきます。部屋のコンセントから均等にヒーターを接続して、

  過負荷による停電への注意が必要です。(飼育水温は20〜22度を維持)

 

  (孵化したばかりの稚魚は親からの抵抗力があり、人為的ミスの事故でしか死なせる

   ケースは少ないと思います)

 

 ・産卵匹数が多く、成長も想像以上なので、産卵舟で孵化した仔を半分に割って飼育します。

  この腹は、人工授精で孵化させた舟を含め3舟を占めます。




「ブラインシュリンプの質と孵化率」で稚魚の成長は決まります




 ・稚魚の飼育は、「ブラインシュリンプの質と孵化率」で決まるといっても過言ではないと思います。
  質の良いブラインシュリンプは、画像のように乾燥卵の段階で、赤色をおびています。  
 
 ・孵化率が高く、孵化したブラインと殻粕が完全に分離されて、飼育舟を汚すこともありません。
  稚魚の成長にも大きく影響します。孵化率が悪いと消化不良により稚魚の体調を崩します。
 
 ・例年、こんな簡単な方法でブラインを沸かして、基本的に朝と晩に与えていきます。
 
 ・バイオバクテリアAnakasアナカスによる飼育ですと、ブラインの生存時間も長く、
  稚魚の餌がきれてしまうことはありません。夜間でも(24時間)稚魚達は餌を追っています。




[2/22:産卵、2/26:孵化の3〜4腹目]: 2/27朝撮影
孵化完了!




2/22:産卵の種親画像 (上段がメス、下段がオス) 




 ・2/26〜27にかけて孵化が完了しました。この腹も、とても良い魚の泳ぎだしです。

  

 ・2/28〜3/1の2日間、卵の黄身を与えます。その後ブラインへ切り替えます。

 

 ・卵1個も使いません。自分が食べている卵より、少し高価な卵にしています。

  生餌のブラインをいきなり与えるよりも、稚魚に負担が無く、卵の黄身の持つ栄養素で

  稚魚の抵抗力が増すとも言われています。






        2007年バイオ飼育記録 bR